「テスターって、実際なにができるの?」
電子工作や電気関係の仕事を始めたばかりの人が必ずぶつかる疑問ですよね。
テスター(マルチメータ)は、「電気を数値で見える化する道具」です。
この記事では、初心者でも今日からテスターを使いこなせるように、基本3つの測定をわかりやすく紹介します。

(筆者撮影)携帯テスターの外観
✅電圧測定でわかる事(機器が「正しく電気を受け取っているか」が判断できる)
✅抵抗・導通測定でわかる事(スイッチや配線の「断線・接触不良」を見抜ける)
✅測定レンジと操作(「壊さず・正確に」測定できるようになる)
✅実際の測定例(故障原因を「自分で特定」できるようになる)
✅トラブル時の対策(「テスターが壊れた?」「測れない?」を冷静に解決できる)

最初はみんな「このツマミどこに合わせるの?」って迷うんですよね。僕も最初そうでした。
テスターでできる3つのこと
① 電圧を測る → 機器が正常に動作しているか確認できる ② 抵抗を測る → 部品やセンサーの劣化をチェックできる ③ 導通を測る → スイッチや配線がつながっているか確認できる
電圧測定でわかること:機器が正常に動作しているかを判断する

LED照明が点かないんですが、どこを見ればいいんでしょう?

まずはテスターで電圧を測ってみましょう。電源から正しい電圧が出ていればLED照明本体の故障、出ていなければ電源や配線の問題と切り分けできます。
電気を押し出す力を数値で表したもの。単位は「V(ボルト)」
電圧が高いほど電流を押し出す圧力が強い。
電圧を測定できると、機器や電源が「正しく動いているか」を判断できるようになります。
電圧測定が出来ると、入力側の電源が正常に供給されているか?出力側が正しい電圧を出しているか?を確認できます。
もし電圧が想定より低かったり、まったく出ていない場合は、配線や電源装置に異常があると判断できます。
たとえばDC12Vのパワーサプライの出力端子をテスターで測定して、電圧が0Vだった場合。 これは電源が出力していない、もしくは内部で故障しているサインです。
電気機器へ安定した電圧(直流電圧)を供給する装置。
DC(直流)電源として制御盤や機械に使われます。
逆に12Vが正常に出ていれば、次にLEDや制御回路側を疑う、という順番で原因を特定できます。
電圧測定は「電気が来ているか」を確認する最初のステップです。 正しい電圧が出ているかどうかを知ることで、故障箇所を素早く判断できるようになります。

【筆者撮影】コンセントの電圧測定
上記の写真はコンセントの電源電圧測定をしています。コンセントの電源電圧は「100V」のところ、測定値は「103.2V」を示し正常に電圧が出ていることがわかります。
抵抗測定でわかること:配線や部品の「状態」を見抜く

配線が切れてそうなんだけど、目で見てもわからないんです。

そんなときこそテスターの出番です。抵抗レンジで測ってみましょう。値が“∞”なら断線、0Ωなら短絡してるってことですよ。
電気の流れにくさを表す値。単位は「Ω(オーム)」。
抵抗が大きいほど電流が流れにくくなる。
抵抗を測定できると、配線や部品が「正常に電気を通しているか」を判断できます。
抵抗値は電気の通りやすさを数値で示します。 正常な配線や部品には固有の抵抗値がありますが、
断線していれば無限大(∞)やオーバーレンジ(O.L)、短絡していれば0に近い値になります。
このため、抵抗測定を行うことで「電気が通らない」「通りすぎている」といった異常を発見できるのです。
例えばエアコンの温度センサーをテスターで測定したとき、抵抗値がまったく表示されなかった―― 実際には内部の細い導線が断線していた、というケースもあります。 同じように、配線の接触不良も抵抗測定で確認できます。
温度によって抵抗値が変化する部品で抵抗値の変化で周囲の温度を測定しています。
抵抗測定を覚えると、「見えない断線や劣化」を数値で判断できるようになります。 目視だけでは気づけない異常を発見できるのが、テスターの強みです。

【筆者撮影】抵抗器の抵抗値を測定している様子
上記の写真は焼損してしまった抵抗器の抵抗を測定していますが、測定値がオーバーレンジ(O.L)測定不能となっているので断線しているとわかります。
導通測定でわかること:スイッチや配線の「つながり」を確認する

スイッチが壊れてるのか、配線が悪いのか、見ただけじゃ全然わかりません…。

そんな時は導通テスト。ONで“ピッ”と鳴れば正常、無反応なら中の接点が怪しいですね。
電気回路がきちんとつながっている(電気が流れる)状態を表す。
配線が断線などしていると導通が途切れているなどといいます。
導通測定をすると、スイッチの動作不良や配線の接触不良を判断できます。
導通テストでは、電気がスムーズに流れる経路があるかをチェックします。 テスターの内部から微弱な電流を流し、回路がつながっていれば「ピー」と音が鳴り、表示が出ます。 つまり、スイッチや端子が正常に接触しているかを音や数値で確かめられるわけです。
例えば照明スイッチを押してもランプが点かない場合、導通テストでスイッチの端子を測定。 ONにしても音が鳴らなければ、スイッチ内部で接触不良が起きていると判断できます。 また、長年使った配線や端子のゆるみも導通テストで簡単に見つけられます。
導通測定をマスターすると、「どこが切れているのか」「どこが接触していないのか」を短時間で判断できます。 見た目ではわからないトラブルも、“ピッ”という音で一瞬で見抜けます。

【筆者撮影】導通テストで接点を測定
上記写真はスイッチのONしている状態を測定しています。ブザーが鳴って接点が正しくつながっていることがわかります。
【実体験】装置が動かない原因は、まさかのヒューズ断線だった

装置が動かないんだけど、電源が入ってないみたいなんだよね…。

電源ユニットかな?とりあえずテスターで見てみよう。

(筆者撮影)パワーサプライの電圧を測っている様子
結論から言うと、原因はパワーサプライの不良ではなく、ヒューズの断線でした。
過電流から回路を守る安全部品。
過電流を検出すると内部の線が熱で焼き切れて、電気回路を遮断します。
まずDC12Vの出力をテスターで測ってみると、ちゃんと12V出ていました。
つまり、電源は正常に出力しているということです。では、なぜ装置が動かないのか?
配線をたどって測定していくと、途中のヒューズ部分で電圧が途切れていることが判明しました。
ヒューズを取り外して確認すると、中の線が劣化して切れていたのです。

パワーサプライを交換してたら、無駄なコストと時間をかけるところでしたね。

やっぱり、電圧を追いかけて測るのが一番確実だね。
テスターを使えば、“どこまで電気が来ているか”を数値で追えるので、
こうしたトラブルの原因を正確に特定できます。
「壊れてる」と思い込まず、まずは電圧を測る──これが大事です。
FAQ:テスター初心者のよくある質問
Q1. テスターの赤と黒の線、どっちをどこに当てる?
A. 基本は赤=プラス側、黒=マイナス(またはGND)側ですが、誤って逆で当たった場合は数値が「ー」の表示になります。
Q2. 交流と直流の違いは?
A. 電池などは直流(DC)、家庭のコンセントは交流(AC)です。テスターの切り替えを忘れずに。
Q3. 測定した数値が動かないときは?
A. ダイヤルの測定レンジが合っていない可能性があります。電圧測定は「AC」「DC」など、測定対象に対して設定しましょう。

【筆者編集画像】テスターの切り替えレンジ
まとめ
🔋電圧測定:電源や出力の異常を確認できる
⚡抵抗測定:部品や配線の状態をチェックできる
🔧導通測定:スイッチや配線の断線・接触不良を見抜ける
これらを理解して使い分けられるようになると、電気トラブルの原因を自分で切り分けられるようになります。

テスターは「電気の健康診断器」みたいなもの。つまり、「動かない原因」が電源・部品・配線のどこにあるかを切り分けるには、テスターが最も頼りになる相棒なのです。
テスターに関して初心者が勘違いしやすいポイントについての記事もあります。










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