電気機器のトラブルで修理依頼を受けたけれど
どうやって修理すればいいんだろう?
どこかの部品が悪くて不具合が起きているかもしれませんね。
それはなんとなくわかるけど、どの部品が悪くて不具合が起こっているか
どうやったら特定できるんだろう?
不具合の原因を特定するには手順を踏んで調査する必要があります!
電気機器のトラブルなどで先輩などが修理工事などを行なっている場面で、先輩たちはどうやって修理箇所不良箇所を調べて修理してるんだろうか?
自分も先輩の様に修理ができる様になりたいと考えたことはありませんか?
電気故障が発生した場合、修理を行うにあたって不良部品の特定が必要になります。
不良部品を特定することができれば、的確な修理ができます。
そのために行うべき4つの手順をお教えします。
- 故障修理の手順
- 不良部品の判断方法
- 故障修理で不良部品の特定のために必要なこと
電気故障修理で不良部品の特定のための4つ手順
- 故障が疑わしい電気部品を選定する
- 電気部品への入力が正しいか確認する
- 電気部品の出力が正しいか確認する
- 入力と出力の確認結果から不良を判断する
手順1,故障が疑わしい電気部品を選定する
故障修理と言っても何からすれば良いかわかんないよ。
まずは当てずっぽでも悪くなっていそうな部分を考えるところから考えます。
それがわかれば苦労はしないですよ。
原因にあたりをつける方法はいくつかあります。
まず、故障の原因として考えられる電気部品を選定します。
原因が特定出来ていないからこそまずは当てずっぽうでも怪しいところを疑わなくては故障修理は始まりません。
具体的には、故障箇所から想定される部品、使用状況から寿命が来ていると考えられる部品、過去に同じような故障が起こった部品などが考えられますが、
目星が付かない場合は症状に一番近いところから疑っていきましょう、例えばボタンを押しても機械が反応しないならまずはボタンから疑っていくと言った具合です。
手順2,電気部品への入力が正しいか確認する
疑わしい部品の目星はつけたけどどうやって調べていけばいいんだろう?
その部品への入力が正しいかを確認します。
入力を言われてもピンと来ないなぁ。
その部品が機能するために必要なことを考えてみることで必要な入力がわかります。。
入力を確認するとはその部品の機能を得るための前提条件を疑うことです。
その電気部品は装置全体の中で何らかの機能を果たすために使用されているはずです、その機能を果たすために必要な入力が与えられているかを確認することでその電気部品が悪いのかその入力を与えている他の部分が悪いのかがわかります。
具体的には電源を必要とする電気部品であれば電源が正しく与えられているかを確認します。
ボタンなどであれば動作に電源は必要ありませんがボタンがしっかり押されているかといった電気以外の入力も考えられます。
こういったことを踏まえながらその電気機器に必要な入力を確認します。
次の表に一般的な電気部品に求められる入力の一例を紹介します。
電気部品 | 考えられる入力 | 備考 |
押しボタン | ボタンを押す、押さないなどの操作 | 押さないことも入力と言える。b接点などは押さないことで接点が閉じているため |
セレクトスイッチ | セレクトを切り替える操作 | |
リミットスイッチ | 動作レバー(アクチュエータ)を押す戻すなど操作 | |
パワーサプライ(直流電源装置) | 電源電圧(直流型、交流型) | 最近は直流交流どちらでも良いものもある |
光電センサー | 電電電圧と光軸を遮光する、しないなどの動作 | |
リレー、電磁接触器など | 操作コイルへの電源電圧 | 電圧の高さも以外に直流、交流以外の確認も必要 |
モーター | 電源電圧(直流、交流) |
手順3,電気部品の出力が正しいか確認する
部品への入力は問題なかったけれど次はどうしたらいいんだろう?
入力確認の次は出力の確認です!
出力を確認するとは?
その部品が何の機能のために使用されているのかを考えるとわかりやすいですよ!
次に、その電気部品からの出力が正しいかどうかを確認します。
入力を確認するときと同様に出力が正しく得られているかを確認することでその部品が正しく動作しているかがわかります。
モーターであれば電源という入力が正しく入力されているときに、回転力や回転数といった出力が得られているかといったに部品がその性能を発揮しているかを確認することで部品が壊れているのかどうかを判断することができます。
次の表に一般的な電気部品から得られる出力の一例を紹介します。
電気部品 | 考えられる出力 | 備考 |
押しボタン | 接点の開閉 | 接点の数は1〜2つ程度 |
セレクトスイッチ | 接点の開閉 | |
リミットスイッチ | 接点の開閉 | |
パワーサプライ(直流電源装置) | 直流電圧 | |
光電センサー | 有電圧接点(有電圧の出力) | |
リレー、電磁接触器など | 接点開閉 | 接点の数は2〜4つ程度 |
モーター | 回転力、回転数 |
手順4,入力と出力の確認結果から不良を判断する
- 入力正常、出力異常ならその部品が不良!
- どちらも正常ならその部品は問題なし!
- 入力に異常があればその部品以外に原因がある!
最後に、入力と出力の確認結果をもとに、その部品が不良であるかを判断します。
入力は正常だが出力がない場合は、電気部品そのものが故障している可能性が高いです。
逆に入力も出力が正常の場合やその部品は正常と判断することができます。
入力に異常がある場合はその部品以外が不具合の原因である可能性が高いです。
具体的な例ではリレーなら操作コイルに正常な電源が供給されて入力は正常なのに、接点が開閉しないなど出力が異常だった場合などです。
電気部品が不良と判明した場合はその電気部品はを交換して見て症状が改善、復旧すれば判断は正しかったことになり、無事問題解決です。
電気部品が問題なしという判断となれば不具合の原因は別の電気部品ということになりますので、手順1の疑わしい部品の選定から同じ手順で調査を繰り返していきます。
なんだか回りくどい手法に感じるけれど?
手間はかかりますが経験上これが手堅く故障不具合の
原因にアプローチできる手法だと思います
確かに消去法的に原因を1つ1つ検証していくから、
原因に確実にたどり着けそうな気がするかも
ただ、検証に当たっては電気部品ごとにどんな入力が必要でどんな出力が得られるかを知っている必要があるので
普段から電気部品についての理解を深めておく必要はあります。
以上が、電気故障修理で不良部品の特定のための4つの手順です。
実際にあった電気部品の不具合事例3例
- 年数劣化したリレーで接触不良
- パワーサプライの出力不良
- コイル切れを起こした電磁接触器
事例1,年数劣化したリレーで接触不良
年数劣化したリレーの接点は絶縁性の腐食が進行して接触不良を起こすことがあります。
接触不良によって電気抵抗が高くなった接点が原因でリレーを使用している機械の動作が不安定になったり動作停止する事例に遭遇したことが過去に何度かあります。
リレーとは操作コイルへ電源が入力されれば、電磁力の力で内部の接点が開閉しその接点を出力として機能する電磁式スイッチです。
接点を出力とするので接点が閉じた時は電気抵抗が(抵抗値が0Ω近くになる)はずですが、リレーの操作コイルには正常に電源が入力されているにもかかわらず、接点が閉じるが不良で接触抵抗が高い状態になっていることがありました。
事例2,パワーサプライの出力不良
パワーサプライには寿命がありいつか経年劣化でいずれ出力不良をを起こすことを経験上知っています。
過去には出力不良の不具合に何度も遭遇しています。
パワーサプライとは交流電源を入力として安定した直流電源を作り出し出力する安定化電源装置です。
パワーサプライへの電源電圧が正常なことを測定して入力が正常なのに、出力を測定すると出力電圧が発生していない症状の不具合に過去何度も遭遇しています。
次の写真は不良のパワーサプライの入力と出力を確認しているところです。
パワーサプライへの入力電圧は定格入力「100〜120V』のところ、『100.1V』が確認出来ますので入力は正常です。
次に出力を確認してみます。
上記のパワーサプライは出力電圧を測定したところ、電圧が『24V』のところ、『16.59V』しか出力されていませんでした。
事例3,コイル切れを起こした電磁接触器
長年使用した電磁接触器は操作コイルに電源が接続されても動作しないコイル切れをという不具合を起こすことがあります。
電磁接触器とはリレーと同様に操作コイルに入力される電源で電磁力を発生させて電磁石の力で大電力用の接点を開閉して出力する機器です。
過去何度か操作コイルへの電源は正常に入力されているのに内部が電磁石化せず接点の開閉が動作しないコイル切れを経験したことがあります。
故障修理で不良部品特定のために必要な3つのこと
- 部品に対しての知識
- 入力出力を確認するための測定技術
- 不具合の経験
必要なこと1,部品に対しての知識
この記事で解説した手順で故障修理における不良部品の特定を行うには部品単体の機能や性能について普段から勉強しておことこが重要です。
なぜなら、正しい入力や正しい出力がされているかはその部品の特性を正しく理解している必要があるためです。
例えば押しボタンであればボタンを押すと接点が閉じる(離れる)ことがわかっていないと原因特定の検証ができません。
必要なこと2,入力出力を確認するための測定技術
入力出力を確認するためにはそれを確実に確認するための測定技術も不可欠です。
正しい入力出力を確認するためにはその状態を測定で判断しなくてはいけません。
例えばリレーの操作コイルに入力電圧が正しいか判定するには見ため判断できないので、テスターなどの測定器具で測定する必要があるからです、
同様に接点の開閉という出力が正しいかを確認するには接点が閉じた時に抵抗値がちゃんと0Ωに近くなっているかはテスターの抵抗値測定で測定しなくては正しく判断はできません。
必要なこと3,不具合の経験
不良部品特定に素早くたどり着くには何より経験が必要です。
一度経験した不具合は経験として蓄積されて次に同じ様な不具合に遭遇した時に、
不良部品を探す目安が出来るので、いち早く不良部品特定できる可能性が高くなります。
パワーサプライが故障した時はパワーランプが点灯しないなど測定以外の状況から不良部品にたどり着ける可能性が高くなります。
経験を高めるには実際に体験することもそうですが、先輩、同僚の経験談を自分ごととして聞いたり教えてもらうことで擬似的に経験の積み増しをすることが出来ます。
ただの雑談からでも得られることも多いので周りの体験談をよく聞いておくと経験値に差が出ます。
まとめ
- 不具合を起こしていそうな部品を選定する
- 電気部品への入力状態を確認する
- 電気部品の出力状態を確認する。
- 入力状態、出力の状態から故障原因かどうかを判断する。
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