
テスターを手に入れたけど、どこに当てればいいのか分かりません。
設定を間違えて壊しそうで怖いし、数字が出ても、それが合っているのか判断できなくて……。

この記事では、測る対象を電池と、何にもつながっていない練習用の電線に絞ります。
結果を先に予想してから実際に測り、表示された数字を確認するところまでやってみましょう。
テスターは、数字が表示されたからといって、正しく測定できているとは限りません。
この記事では、乾電池や未接続の練習用電線を使い、測定前に結果を予想し、実測値と比較する練習を紹介します。

テスターを使うときは、測定前に結果を予想し、設定と安全条件を確認してから測り、実測値を予想と比べることが大切です。
最初は乾電池・充電池と未接続の練習用電線に対象を限定し、測定方法や安全条件が分からないものには手を出さないようにしましょう。
⚠️作業時の最重要安全ルール
・通電中の厳禁: 部品の交換や抵抗・導通の測定は、必ず機器の電源を切って(ブレーカーを落として)行ってください。
・設定の確認: テスター等の計測器を使う際は、測定対象に合わせた正しいレンジ(電圧・抵抗など)になっているか必ず確認してください。
➕ 【重要】ご一読ください:安全上の注意と免責事項(タップで展開)
この記事の内容は、あくまで筆者の20年以上の経験に基づく一般的な知識と手順を紹介するものです。
電気工事や保守作業には、感電・火災・機器の破損といった重大な危険が伴います。実際の作業は、必ず自己責任で、関連法規と安全規則を厳守して行ってください。
また、資格が必要な作業は必ず有資格者が行ってください。
当ブログの情報に基づいて生じたいかなる損害・事故についても、当方は一切の責任を負いません。
テスター初心者は、まず電池や未接続の練習用電線で「予想→測定→確認」をやってみよう

テスターの使い方を身につける方法の一つとして、この記事では、すべての機能を覚える前に、結果をある程度予想できる対象で一連の測定を経験します。
流れは、予想 → 設定 → 安全確認 → 測定 → 確認です。
テスターには、直流電圧・交流電圧・抵抗・導通のほか、機種によってダイオード、静電容量、周波数など多くの機能があります。
最初から全部を覚える必要はありません。
この記事で使うのは、次の3つです。
- 直流電圧
- 抵抗
- 導通
測定対象も、次のものに限定します。
- 乾電池・充電池
- 最初から何にも接続されていない電線
この記事で扱う対象は商用電源や設備へ接続したまま測るものではなく、測定条件を限定しやすいためです。
測定の流れ
- 予想:何を確認したいのか、どのくらいの結果になりそうか考える
- 設定:測るものに合った機能を選ぶ
- 安全確認:測定対象やテストリードの状態を確認する
- 測定:決めた場所にリードを当てる
- 確認:実測値を予想と比べる
この流れで特に意識してほしいのが「確認」です。
テスターは、何か数字が表示されたからといって、それだけで正しく測れたとは限りません。
測る前にある程度結果を予想しておけば、「この数字はおかしくないか?」と考えられるようになります。

テスターの扱いに慣れていなかった頃は、「数字が出たから測れている」と考えてしまったことがあります。
数字を見るだけでなく、設定や予想した結果と比べることが大切です。
最初に確認|テスターでやってはいけないこと

測り方の前に、この記事で守ってほしいことを確認します。
| やってはいけないこと | 理由 | 今回の練習ではどうするか |
|---|---|---|
| 紹介していない対象を試しに測る | 対象によって設定・測定場所・必要な安全条件が異なる | 乾電池・充電池と未接続の電線だけにする |
| 電圧が加わっている対象を抵抗・導通で測る | 抵抗・導通はテスター側から測定用の電気を加えて確認するため、外部電圧があると誤測定や測定器損傷のおそれがある | 最初から何にも接続されていない電線を使う |
| 設定が分からないままリードを当てる | 違う設定でも数字が表示され、間違いに気付けない場合がある | 当てる前にダイヤル位置を確認する |
| 傷んだテストリードを使う | 導体が露出していると意図しない場所へ触れるおそれがある | 使用前に被覆・先端を確認する |
| 濡れた手で扱う | 感電リスクが高くなる | 手を乾かして扱う |
| コンセント・分電盤・設備を練習台にする | 感電・アーク・短絡などにつながるおそれがある | 初心者の練習対象にしない |
| 電流測定を試す | 電圧・抵抗とは測定方法が大きく異なる | 今回は扱わない |
| 接続先が分からない電線を使う | 外部から電圧が加わる可能性を判断できない | 完全に独立した練習用電線だけを使用する |
| リードを当てたまま電線を切る | 手元が不安定になり、工具やリードが意図しない場所へ触れる | テスターを完全に外してから切る |
HIOKIのディジタルハイテスタ3801・3802取扱説明書でも、抵抗測定ファンクションに電圧を入力しないことや、測定回路の電源を切ってから測定することが示されています。
ヨツギの失敗談|通電中の回路を抵抗レンジで測った
以前、練習のつもりで現場の回路を測っていたとき、電源が入ったままの回路へ抵抗レンジでリードを当ててしまったことがあります。
リードが端子に触れた瞬間に火花が出て、部屋の照明が消えました。
原因を確認すると、通電された回路を抵抗レンジで測定した状態で、テスターを通じて盤内のアース部分に触れたことで地絡し、建物の分電盤にある漏電ブレーカーが動作していました。
お客様にもご迷惑をおかけしました。
この経験から、抵抗・導通を確認するときは、測定対象に外部から電圧が加わっていないことを確認してから測るようにしています。
この記事でも、このような通電中の回路は練習対象にせず、最初から電源につながっていないものに限定します。
測定前に知っておきたいテスターの基本
今回使うのは、ZOTEK VC921です。

VC921には、直流・交流電圧、抵抗、導通、ダイオード、静電容量、周波数・デューティ比などの機能があります。
本体には「Auto Ranging」と表示されています。
今回使うVC921では、まず次の4つの記号と測定対象の関係を確認します。
| VC921の記号 | 意味 | 今回の使い方 |
|---|---|---|
![]() |
直流電圧 | 乾電池・充電池の測定で使用 |
![]() |
交流電圧 | 今回は意味だけ確認し、実測しない |
![]() |
抵抗 | 未接続の練習用電線で使用 |
![]() |
導通 | 未接続の練習用電線で使用 |
初心者向けには、今回使う直流電圧・抵抗・導通を中心に練習し、交流電圧は記号の意味だけ確認します。
乾電池・充電池は直流なので、今回の電圧測定では直流電圧の測定項目を選びます。
記号の表示方法は機種によって異なる場合があるため、実際に使うテスターの本体表示や取扱説明書も確認してください。

VC921には測定範囲を自動で選ぶオートレンジ機能があります。また、ZOTEK公式のVC921製品情報では、Auto/Manual ranging対応とされています。
ただし、「電圧を測るのか」「抵抗を測るのか」「導通を確認するのか」まで自動で選んでくれるわけではありません。
そこは自分でダイヤルを合わせます。
今回確認したVC921のダイヤルには、A・mA・µAなどの電流測定レンジは見当たりません。
この記事でも電流測定は扱いません。
今回使っているVC921は、仕事用を含めてこれまでに4台購入しています。
単四電池で使えること、テストリードを本体に収納できること、ハードケース型で持ち運びや保管がしやすいことなどが、繰り返し選んでいる理由です。
この記事と同じ機種を確認したい方は、こちらから商品を確認できます。
種類の違う電池を測って「予想→測定→確認」をやってみよう
まず電池を使って、直流電圧を測ります。
今回使うのは、アルカリ乾電池とニッケル水素充電池(以下、充電池)です。
電池の種類と表示を見て測定結果を予想する
まず、テスターを触る前に電池の表示を見ます。

アルカリ乾電池には「1.5V」と表示されています。

充電池には「1.2V」と表示されています。
Panasonic公式「電池をよりよくお使いいただくために」でも、乾電池の公称電圧は1.5V、ニッケル水素充電池は1.2Vと説明されています。
ただし、この数字を「テスターに必ず表示される正解値」とは考えません。
公称電圧を、実測結果を考えるための基準にします。
測る前に、「1.5Vと書かれている乾電池なら、実際はどのくらいになるだろう?」と一度予想してみてください。
+と-を確認してDC電圧を測る
- 電池の+と-を確認する
- テストリードに傷がないことを確認する
- VC921を直流電圧に合わせる
- 赤リードを+、黒リードを-へ当てる
- 表示を読む

今回測ったアルカリ乾電池では、1.617Vと表示されました。
公称電圧1.5Vと完全には一致していません。
「1.5Vと書いてあったから1.500Vになるはず」と予想していた場合は、ここで予想と実測値が違ったことを確認できます。
公称電圧は、テスターに表示される固定の正解値ではありません。
公称電圧は「正解値」ではなく、測定結果を考えるための基準です。
赤と黒を逆にするとどう表示される?
次に、今回の乾電池をVC921の直流電圧で測定したまま、赤と黒のリードを逆にしてみました。

VC921では、表示値の前にマイナス記号が付きました。
これは今回の乾電池とVC921で確認した結果です。
「電圧測定ならどんな対象でも逆に当ててよい」という意味ではありません。
状態が分かっている別の電池も比べてみる
さらに、状態があらかじめ分かっている別の電池も測ってみました。
| 測定した電池 | 測定前に分かっていた状態 | 実測値 |
|---|---|---|
| アルカリ乾電池 | 使用して弱っていたもの | 1.238V |
| 充電池 | 充電が十分でない状態 | 0.984V |
| 充電池 | 十分に充電した状態 | 1.35V |



ここで大切なのは、因果関係を逆にしないことです。
「1.238Vだったから弱った電池だと判断した」「0.984Vだったから充電不足だと判断した」「1.35Vだったから十分に充電されていると判断した」のではありません。
状態があらかじめ分かっていた電池を測定し、そのときに表示された値を記録した例です。
同じ種類・同じ公称電圧の電池でも、実際に表示される電圧が同じになるとは限りません。
今回測定した充電池の0.984Vや1.35Vを、充電池の残量を判断する基準として使用しないでください。
1回の無負荷電圧だけで、正確な残量を決めることもできません。

数字が出たら終わりではありません。
「予想した数字と違うのはなぜだろう?」と考えるところまでが測定です。
練習用の電線を測って「導通あり」と「断線」を比べよう
次は、何にも接続されていない練習用電線を使います。
設備配線、電源コード、壁の中の配線などは使いません。
まず、VC921そのものがどのように表示するか確認します。
何にもつないでいないときの表示

VC921では、リードを何にも接触させていない状態で、O.Lと表示されました。
これはVC921で確認した表示です。
別のテスターでは表示方法が異なる場合があります。
リード同士を直接当てるとどうなる?

今回使用したVC921で赤と黒のリード先端を直接接触させたところ、0.3Ωと表示されました。
これは、テスター一般の「正常値」が0.3Ωという意味ではありません。
あくまで、今回のVC921で今回確認した表示値です。
リード同士を直接当てても、必ず0.0Ωになるとは限りません。
テストリードや接触部分などの影響も含んだ表示になります。
今回使用したVC921の本体には、「Continuity: <50Ω, beep」と表示されています。
これは今回の実機本体で確認した表示で、50Ω未満を導通ブザーの条件として示しています。
ブザーが鳴る条件は機種によって異なるため、自分のテスターの仕様を確認してください。
電線を切る前と後で比べる
測る前に予想します。
「電線を途中で切ると、抵抗表示や導通ブザーはどう変わるだろう?」と考えてみてください。
まず、切断前の練習用電線の両端を測りました。

今回のVC921では、抵抗測定で0.2Ωと表示され、導通モードではブザーが鳴りました。
次に、テスターを電線から完全に外してから、電線の途中を切断します。

では、切断前と同じ両端をもう一度測ると、抵抗表示と導通ブザーはどうなるでしょうか。
ここで予想
答えを見る前に、「抵抗表示」と「ブザーが鳴るか」を予想してみてください。

切断後は、抵抗測定でO.Lと表示され、導通モードではブザーが鳴りませんでした。
| 電線の状態 | 抵抗測定 | 導通モード |
|---|---|---|
| 切断前 | 0.2Ω | ブザーあり |
| 切断後 | O.L | ブザーなし |
これで、同じ2点を測ったとき、途中がつながっている状態と切れている状態では表示と導通ブザーが変わることを確認できました。
なお、先ほどリード同士を直接接触させたときは0.3Ω、切断前の電線では0.2Ωと表示されています。
この2つは別のタイミングで測定した今回の実測値です。
この程度の差から電線そのものの抵抗を判断するのではなく、今回の練習では「低い抵抗値の表示からO.Lへ変わったこと」と「導通ブザーの有無」を確認します。
0.2ΩやO.Lという数字・表示そのものを、すべてのテスターに共通する判定値として覚える必要もありません。

断線確認で大事なのは、「どの2点の間を確認しているのか」を決めることです。
測る場所が変われば、切断前後を比べる意味も変わってしまいます。
安全条件を確認できるものだけ、次の測定へ進もう

電池と練習用電線で、予想 → 設定 → 安全確認 → 測定 → 確認までできたら、次の測定について考える段階です。
ただし、次へ進む前に確認してください。
- 何を確認するために測るのか分かっている
- 使用する測定機能が分かっている
- 自分のテスターがその測定に対応しているか確認できる
- 測定対象と測定方法について、必要な安全条件を確認できる
- 予想される結果をある程度考えられる
- 分からない場合に、測らず止められる
職場の設備については、職場のルールや責任者・有資格者の指示に従ってください。
建物の電気設備について困りごとがある場合は、必要に応じて電気工事業者などへ相談してください。

「分からないから、とりあえず測ってみる」のではなく、「分からないから止まる」という判断も大切です。
テスター初心者のよくある質問


安いテスターでも練習できますか?

価格だけでは判断できません。測定できる項目、仕様、定格、用途を確認しましょう。
「安いから初心者向け」「安いから安全」という意味ではありません。

数字が表示されれば、正しく測れていますか?

いいえ。数字が出たことだけでは、正しく測れたとは判断できません。
設定、当てた場所、予想した値との整合を確認する必要があります。

乾電池の電圧だけで残量は分かりますか?

1回の無負荷電圧だけから、正確な残量を決めることはできません。
同じ電池を以前に測った記録などと比較することで、状態を考える材料になる場合はありますが、今回の記事では電圧値だけから残量を判定する方法として扱っていません。
今回の1.238V・0.984V・1.35Vも、状態があらかじめ分かっていた電池を測定した実例です。特に0.984Vや1.35Vを、充電池の残量判定基準として使用しないでください。

コンセントで練習してもいいですか?

この記事では、コンセントを初心者の練習対象にしていません。
VC921本体にはCAT II、AC/DC 600V MAXという表示がありますが、その表示だけを理由に初心者がコンセント測定を練習してよいとは判断しません。

導通ブザーが鳴れば0Ωですか?

いいえ。ブザーが鳴る条件と、表示される抵抗値は同じ意味ではありません。
今回のVC921は、本体表示上「50Ω未満でブザー」とされています。また、今回リード同士を直接接触させたときの表示は0.3Ωでした。

断線すると必ずO.Lと表示されますか?

いいえ。開放状態の表示方法は機種によって異なります。
今回のVC921では、リードを何にも接触させていない状態と、今回の練習用電線を切断した後の測定でO.Lと表示されました。

抵抗・導通を測っても表示が変わらないときは?

まず測定対象から赤・黒両方のテストリードを完全に外し、テスター側から確認します。
- ダイヤルが抵抗または導通になっているか確認する
- 赤黒のリード先端を直接接触させる
- 表示が変化するか確認する
- 導通モードでは仕様どおりの反応があるか確認する
今回のVC921では、リード同士を直接接触させたとき0.3Ωと表示されました。
変化しない場合は、設定違い、接触不良、リードの損傷、テスター本体の不具合など複数の可能性があります。この確認だけで原因を決めず、取扱説明書などを確認してください。
まとめ|安全条件を確認して、予想してから測ってみよう

テスターを使うときは、次の流れを意識してください。
テスターを使うときの流れ
- 何を確認するために測るのか決める
- 結果を予想する
- 適切な測定機能を選ぶ
- 安全条件を確認する
- 決めた場所を測る
- 実測値を予想と比べる
- 違和感があれば設定や測定場所を見直す
- 分からない対象へ自己判断で広げない
この記事のゴールは「何でも測れるようになること」ではありません。
安全条件を確認できる対象について、予想してから測定し、表示された結果を自分で考えられるようになることです。









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