顧客に最近機械の調子が悪いって言われてみてみると
確かに調子悪い感じ、なんでだろう?
それってもしかしたら電気接点が接触不良しているのかも!!
接触不良って聞いたことあるけど、
具体的にどういうことかわかんないなー
機械や電気機器の調子が悪いっっていう状態を聞いたり、実際に体験したことはありませんか?
調子よく動く時もあるけれど途中で止まってしまったり、何回も操作ボタンを押さないといけなかったりしてなんだか不安定な感じ。
それは、電気回路の接点が接触不良を起こしているのかもしれません。
今回はそんな機械や電気機器の不調を招く電気機器のの接触不良について、経験が浅い初心者が知っておくべき事をご説明します。
接触不良とはどんな状態なのか?なぜ起こるのか起こってしまったらどうするのか?接触不良を防ぐ方法についても解説します。
- 接触不良がどんな状態のことか?
- 接触不良が起こるとどうなるのか?
- 接触不良を放っておくとどうなるのか?
- 接触不良が起こった時どうすれば良いか?
- 接触不良を防ぐにはどうすれば良いか?
接点の接触不良について知っておくべきこと
- 接点での接触抵抗が高くなる。
- 電圧降下によって動作不良を引き起こす。
- 機械や電気機器の動作が不安定になる。
- 接触不良を放っておくと永久故障につながる。
知っておくべきこと①接点での接触抵抗が高くなる。
接触不良が発生すると接点が閉じた時(電気を流す状態)の接触抵抗が高い状態となってしまいます。
ヨツギも職業柄稀に接触不良を起こしている機器に遭遇するすことがあります。
接触抵抗が高いとどうなるの?
接触抵抗が高いと電気が流れにくい状態になってしまいます。
本来接点が閉じている時は接触抵抗はほとんど0Ω(オーム)に近い状態のはずが、接触不良を起こす数十Ωから数百Ωぐらいの高い状態となります。
接触不良とは接点が閉じて電気が流れる状態で電気を通す金属接触部分で接触抵抗が高くなってしまっている状態の事を言います。
知っておくべきこと②電圧降下によって動作不良を引き起こす。
接触不良が起こるとどうなるの
接触不良を起こすと接点で電圧降下が起きてしまい本来なら使用したい電圧が不足して動作不良を引き起こします。
接触不良が接点で起こってしまうと接点部分で接触抵抗が高いことで電圧降下を引き起こします。
具体的には接点が高抵抗となることで、接点が負荷(電力を消費する部分)のような状態となってしまいそこで電圧をロスしてしまい本来電力を使用するはずの負荷に十分な電圧が届かなくなってしまいます。
結果電圧不足で機械や電機機器が動作不良を引き起こす原因となってしまいます。
知っておくべきこと③機械や電気機器の動作が不安定になる。
接触不良はその機器を使っている機械や電気機器の動作が不安定になります。
調子が悪くなるってことってこと?不安定ってどういうこと?
不安定とは動作が安定しないってことです、具体的には正常に動作することもあれば異常な時もあるということです。
接触不良を起こした接点は接触抵抗が高い状態で電圧降下を引き起こして、機器の動作不良などの様々な不具合が発生します。
次の写真のような装置を作って実験してみました。
電磁接触器の補助接点、20年程昔の古いリレー、新しいリレーとで接点の接触抵抗を10回ずつ測定してみました。
測定結果(単位Ω) | 電磁接触器補助接点 | 新品リレー | 古いリレー |
1回目 | 1.9 | 1.7 | 5.4 |
2回目 | 1.9 | 2.2 | 61.8 |
3回目 | 1.9 | 2.2 | 92.8 |
4回目 | 1.9 | 1.8 | 115.6 |
5回目 | 1.9 | 2 | 2.4 |
6回目 | 1.8 | 2.2 | 17 |
7回目 | 1.7 | 1.8 | 3.4 |
8回目 | 1.7 | 2 | 1.2 |
9回目 | 1.7 | 1.2 | 0.9 |
10回目 | 1.7 | 1.2 | 1.2 |
最大 | 1.9 | 2.2 | 115.6 |
最小 | 1.7 | 1.2 | 0.9 |
平均 | 2 | 2.05 | 41.73 |
測定結果から古いリレーの接点は最大で115.6Ωと高い接触抵抗があり接触不良を起こしていることが分かりますが、
注目すべきは何度か測定しているうちに接触抵抗がよいときもあり最小で0.9Ωと低い接触抵抗というときもありました、接触不良を起こした接点でも接触抵抗が良好なときがあることが分かりました。
接触抵抗が良好なときは機械や電気機器は正常に動作します、つまりリレーのON、OFFを繰り返すと正常に動作することもあれば、異常で動かない時もあり動きが安定しないのです。
知っておくべきこと③接触不良を放っておくと永久故障になる。
何度か操作しているうちに調子よくなったのでそのままで良いかなぁ
一度接触不良を起こした接点機器は交換しないといずれ永久故障に繋がります。
接触不良を起こしても正常に動作することがあると言いました、これが厄介で何度か操作すれば正常に動くので接触不良を起こす頻度が低いうちはたまたま調子悪かったのかな思ってしまいます。
しかし、そのままにしておくと接触不良が進行して最終的には永久故障(完全に動かなくなる)につながる恐れがあります。
今では調子が悪いと言ったら接触不良を疑ったりしますが接触不良に詳しくないうちは、見逃し気味でした。
接触不良を起こしている接点機器を見つけたら、放っておいても状態は悪くなる一方なのでその接点機器は交換するのがセオリーです。
接触不良の原因
接触不良を起こす原因はなんだろう?
接触不良の原因は多岐に渡るみたいですが、初期不良をのぞき長期間の経年劣化により接触不良が進行して起こると言われています。
接点を持つ機器でリレーの大手オムロン制御機器様で接触不良についてのQ&Aがあり引用させていただきますと、
接触不良の原因
硫化・塩化 微小負荷条件で硫化ガス雰囲気や塩害の発生しやすい雰囲気での使用において、接点面が硫化、塩化して接触抵抗が上昇して接触不良となる。 炭化物の生成 主にソレノイド、バルブ、コンタクタ、リレー等の誘導負荷の開閉時に接点接触面に炭化物(カーボン)が生成して接触抵抗が上昇し接触不良となる。 フラックス侵入 基板への実装工程にて、フラックスがリレー内部へ侵入し、接触不良となる。 シリコンの侵入 シリコンガス雰囲気中での使用によりガスがリレー内部へ侵入し、接点面に酸化シリコンが付着堆積し接触不良となる。 硝酸反応による腐食 負荷開閉時に発生するアーク放電により、オゾンが発生し、窒素と水分とに反応し硝酸を生成し、接触不良となる。 オムロン制御機器ウェブサイト FAQ NO.FAQ04912リレーが接触不良になる原因にはどの様なことが考えられますか?
硫化、塩化、炭化などなどいろいろな要因が考えられる様です。
接触不良を防ぐには
接触不良を防ぐにはどうすれば良いの?
ヨツギの会社では定期交換を勧めています。具体的にはリレーなどの接点機器はおおよそ10年を経過したものは予防保全で交換を提案します。
接触不良のトラブルを防ぐ方法としてはリレーなどの接点機器が接触不良を起こす前に交換する予防保全という方法がおすすめです。
メンテナンスの考え方で事後保全と予防保全という考え方があります。
接触不良を見つけるには
接触不良を見つける事ってできるの?
ある程度知識と経験が必要ですが、接触不良を見つけることができます。
接触不良でトラブルが起きている機械、電気機器から接触不良を起こしている箇所を探して見つけるには、いくつかの知識と経験や勘を活かして見つけることは可能です。
具体的には電気回路の図面(シーケンス図や配線図)の読み方や実際の機器の配線の見方、接触不良を起こしやすい箇所などを見つける勘などです。
これに関しては経験が絶対的に必要なので、初心者は先輩などから教えてもらったりしてトラブル対応の経験を積む必要があると思います。
まとめ
- 接触不良を起こすと接触抵抗が高い状態になる
- 接触不良によって機械、電機機器が動作不良を引き起こす
- 接触不良が起こると機械、電気機器の動作も不安定になる
- 接触不良を放っておくといずれ永久故障となる
- 接触不良を防ぐためには予防保全で部品交換がおすすめ
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