
電気回路って昔習ったけど、実際に現場で扱うと全然わからない……。
今さら聞くのも恥ずかしいし、どこから勉強すればいいのかな。

電気回路は“何のためにあるか”と“どう流れるか”を理解すれば、意外とシンプルなんです。
電気の仕事では、配線を接続したり、電気図面を読んだりと「電気回路」との関わりは避けられません。
でも、なんとなく理解しているつもりでも、実際に配線してみると動かない……そんな経験はありませんか?
この記事では、電気初心者が電気回路を理解するための4つのポイントと、よくある勘違いについて解説します。
基礎をしっかり押さえれば、現場での作業やトラブル対応もスムーズになります。
- 電気回路とは何のためのものか?
- 電気回路とは何で構成されているのか?
- 電気回路はどうなったら機能するのか?
電気回路を理解するための4つのポイント
- 電気回路は電気を別のエネルギーとして利用するための仕組み。
- 電気回路の構成要素は電源、負荷、その他に分類される。
- 電気回路は電気の流れを作るために必ずループ状に繋げる。
- 電気回路で電気を使用するには電線が2本繋がらないといけない。
ポイント①電気回路は電気を別のエネルギーとして利用するための仕組み。

そもそも、電気回路って何のためにあるんですか?

電気回路は“エネルギーを変換する仕組み”なんです。
そもそも電気回路がなんのためにあるかという事ですが、それは電気のエネルギーを別のエネルギーとして利用するための仕組みです。当たり前と言えば当たり前なんですが、言葉で説明するとそんな説明になります。
たとえば──
- 電気 → 光(LED照明や電球)
- 電気 → 運動(モーター)
- 電気 → 熱(電気ヒーター、IHコンロ)
どんな機器も、電気のエネルギーを別の形に変えて利用しています。
この「エネルギー変換の流れ」を作る仕組みこそが 電気回路 です。

(筆者撮影)電気回路の写真|電気エネルギーを光エネルギーに変換している。
変換先 | 主な機器 |
光エネルギー | LEDランプ、電球 |
機械(回転)エネルギー | モーター |
熱エネルギー | 電熱器、電気ヒーター、IHコンロ |
磁気エネルギー | 電磁石、電磁接触器、リレー |
ポイント②電気回路の構成要素は「電源」「負荷」「その他」

電気回路っていろんな部品があって難しそう……。

実は3つに分けて考えるとスッキリしますよ。
電気回路はポイント①で解説した通り電気を別のエネルギーとして利用するための仕組みで、その構成要素は「電源」「負荷」「その他」に分類できます。次の写真を見てください。

(筆者撮影)電気回路の構成写真|電源と負荷とその他
電源
電源とは文字通り「電」気を作り出す「源」ですから電気エネルギーを供給するもので身近な電源と言えばコンセントだったり、電池だったりが電源に当たります。
負荷
負荷とは電気を消費して別のエネルギーとして利用するための機器で身近な負荷といえばモーターやLED照明などが負荷に当たります。写真では電球が負荷にあたります。
その他
その他とは電源と負荷以外の要素ですが、電線やスイッチセンサーなど電源と負荷を繋ぐためのものを指します。電源と負荷だけがあっても電気は勝手には流れませんから、それらを繋ぐ事で電気回路として利用できるわけですね。写真では電線やスイッチがその他にあたります。
要素 | 役割 | 例 |
電源 | 電気エネルギーを供給する | コンセント、電池 |
負荷 | 電気を消費して別エネルギーに変換 | モーター、照明 |
その他 | 電源と負荷をつなぐもの |
電線、スイッチ、センサー
|
ポイント③電気はループ状につながって初めて流れる

電源から負荷につなげば流れるんですよね?

実はそれだけではダメなんです。電気は“ループ”が必要なんです。
電気をエネルギーとして利用するには電線などで電源と負荷を必ずループ状につなげる必要があります。次の写真を見てください。

(筆者撮影)電気回路のループ状接続の写真|電気は流れがエネルギーとなる
それはなぜかと言うと電気エネルギーとは電気の流れがエネルギーとして利用されるからです。

ヨツギも電気に詳しくないうちは電気ってなんか物質的なものでそれが消費されて利用されてるイメージを持ってました。

(筆者制作図解イラスト)回路の説明|回路はループする必要がある
電気エネルギーは、流れ(電流)があることで利用できます。
つまり、電源から出た電気が負荷を通ってまた電源に戻る──この循環(ループ)必要です。
「電気が回る道=電気回路」という名前の由来もここにあります。
これは交流電源でも同じです、交流電源は絶え間なく+(プラス)と−(マイナス)入れ替わる電源ですが、瞬間的にはどちらかが+(プラス)でその反対側−(マイナス)になり絶え間なく電流の向きが絶え間なく入れ替わっているだけでループ状に流れていることに変わりはありません。
ポイント④電気回路で電気を使うには2本の電線が必要

1本の線でつなげば動きそうなんだけどなぁ。

行きと帰り最低の“2本の道”がないと電気は流れません。
ポイント③で解説した通り、電気回路を成立させるには、電源と負荷を2本の電線で接続する必要があります。
1本ではループが作れず、電気は流れません。
電気回路で電源と負荷が2本の電線でつながった状態で電気が流れる状態になることを回路が成立したと言います。
逆に言えば片側1本だけでは回路は成立しないと言えます。電気回路を制御するためにスイッチなどの接点で回路をON、OFFするためにこのことを利用します。
電源と負荷を片側だけ繋いだ状態にしておき、もう一方をスイッチなどの接点で片側を開閉することで回路を繋いだり遮断したりして、回路のON・OFFを制御しています。

(筆者撮影)電気回路接続線の写真|接続線は必ず2本以上になる
よくある勘違い4選
ここでは、電気初心者が現場でよく間違えるポイントを紹介します。
「知っているつもり」が一番危険です。復習も兼ねて確認しておきましょう。
- 電気は電線の1本で利用できる。
- 電気の通り道は共用できない。
- 電線が繋がれば回路に電流が流れる。
- 電源1つに負荷1つしか繋げない
勘違い①電気は電線1本で利用できる。
電気について理解が浅いときは勘違いしがちなのですが、電気回路が電気の流れを利用してエネルギーを利用するものなので電線1本では電気の流れを作ることができません。
電源と負荷を必ず2本の電線で接続しなくては電気回路は成立しません。
勘違い②電気の通り道は共用できない。
実際には、同じ方向の流れであれば電線を共用することが可能です。
直流回路では、マイナス側を共通の「コモン線」として複数の負荷を接続できます。
制御盤でもよく使われる考え方です。
小学校などの手洗い場で複数の蛇口から利用した水道水が1つの共通の排水溝を通って排水されるようなイメージです。
勘違い③電線が繋がれば回路に電流が流れる。
見た目でループになっていても、スイッチや接点が開いている状態では回路は成立しません。
電気が流れるのは、「接点が閉じた時」だけです。
勘違い④電源1つに負荷1つしか繋げない。
電源1つに対して負荷1つだけということはあまりありません、
実際には、1つの電源で複数の負荷を動かすことができます。
ただし、電源の容量を超えないようにする必要があります。
容量オーバーは過熱やブレーカー遮断の原因になるので注意が必要です。
まとめ
- 電気回路は電源と負荷を接続して電気を利用する仕組み
- 電気回路は電気の流れをエネルギーとして利用するためループ状に接続しなくてはいけない
- 電気回路は1つの電源から負荷に電気を供給するために配線が2線必要だが、複数の負荷の帰路は共用の配線でも問題ない

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