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電気工事士が解説|充電ケーブルはテープ補修していい?見分け方と対処法

被覆が破れた充電ケーブルとテープで補修したケーブルに注意を促す画像 故障・トラブル
初心者作業員
初心者作業員

充電ケーブルの根元がちょっと裂けてて、角度を変えないと充電できないんです。

新しいのが届くまで、テープで巻いておけば平気ですよね?

ヨツギ
ヨツギ

テープで固定して使い続けるのは、おすすめできません。

ただ、「じゃあ届くまでの数日はどうすればいいのか」という部分まで、この記事で一緒に考えていきましょう。

実際にケーブルを分解して確認した結果も、あとでお見せします。

スマホの充電ケーブルの根元が裂けてきて、角度を変えないと充電できない。

そんな状態になったとき、テープで固定すればまだ使えるのではないか、と考える方は少なくありません。

「まだ充電できるから、あと数日だけ使いたい」と思うのは自然なことです。

この記事では、そのケーブルを使い続けてよいのか、原因はケーブルなのかスマホなのか、そして新しいケーブルが届くまでの数日をどう乗り切るかを、公的機関・メーカーの公式情報と、実際にケーブルを壊して確認した結果をもとに整理します。

就寝前にスマホの充電ケーブルの角度を調整している手元
角度を変えないと充電できない状態は、ケーブルや充電口などの異常を疑うサイン

この記事でわかること

  • 角度で充電が切れるケーブルを、使い続けてよいかの結論
  • 原因がケーブルなのか、充電器なのか、スマホの充電口なのかの見分け方
  • 角度によって充電できないケーブルの内部はどうなっていたか(分解して確認)
  • 新しいケーブルが届くまでの数日を、どう乗り切るか
  • 次に買うなら、どんな基準で選べばよいか
⚠️ 重大な安全上の注意と免責事項

⚠️作業時の最重要安全ルール
・通電中の厳禁 部品の交換や抵抗・導通の測定は、必ず機器の電源を切って(ブレーカーを落として)行ってください。
設定の確認 テスター等の計測器を使う際は、測定対象に合わせた正しいレンジ(電圧・抵抗など)になっているか必ず確認してください。

➕ 【重要】ご一読ください:安全上の注意と免責事項(タップで展開)

この記事の内容は、あくまで筆者の20年以上の経験に基づく一般的な知識と手順を紹介するものです。
電気工事や保守作業には、感電・火災・機器の破損といった重大な危険が伴います。実際の作業は、必ず自己責任で、関連法規と安全規則を厳守して行ってください。
また、資格が必要な作業は必ず有資格者が行ってください。
当ブログの情報に基づいて生じたいかなる損害・事故についても、当方は一切の責任を負いません。

今夜どうすればいいか、先にお伝えします

角度で充電が切れるケーブルは、使用を中止してください。

テープで固定しても、内部損傷や接触不良そのものを修復できるわけではありません。

新しいケーブルが届くまでは、正常なケーブルを借りる・購入するなど、傷んだケーブルを使わない方法で乗り切ってください。

詳しい理由は、この先で説明します。

結論|角度で充電が途切れるケーブルは、テープで固定せず使用を中止する

コネクターの根元に亀裂が入った充電ケーブル
被覆に亀裂や裂けがあるケーブルは、使用を中止して交換する

安全に関する注意とお願い

損傷したケーブルの使用は、発熱や火災、感電などにつながるおそれがあります。

Appleも、損傷したケーブルや充電器の使用による火災・感電・負傷等の危険性を案内しています。(iPhoneの安全性に関する重要な情報

記事内の分解や損傷したケーブルを使った確認は、真似しないでください。

分解したケーブルの再通電もしないでください。

異常がある場合は使用を中止し、メーカーや販売店にご相談ください。

結論から言います。

角度を変えると充電が途切れる場合、ケーブル側では断線や接触不良が疑われます

ただし、充電器やスマホの充電口が原因のこともあります。

原因がどれであっても、外観に損傷があるケーブルや、充電が途切れるケーブルは、テープで固定して使い続けないでください。

国民生活センターは、USBケーブルについて、外観上の異常、充電が途切れる、異常に熱くなるといった様子が見られた場合は、使用を中止するよう案内しています。(国民生活センター

Appleも、iPhoneが充電されない場合の確認事項として、ケーブルの断線や端子の曲がりなどの損傷がないかを挙げ、破損したアクセサリは使わないよう案内しています。(Apple

ここで大切なのは、「まだ充電できるかどうか」ではなく「異常が出ているかどうか」で判断することです。

この記事の後半で、実際に角度によって充電が切れるようになったケーブルを分解し、中で何が起きていたかを確認していますので、あわせてご覧ください。

今の状態がどの段階かを確認してください

劣化の程度が異なる3本の充電ケーブルの比較
左から、正常・被覆のひび割れ・中の線が見えている状態
ケーブルの状態判断
見た目に異常がなく、充電も安定している通常どおり使用。抜くときはコードを引っ張らず、コネクターを持つ
外側の被覆にひびや裂けがある(中の線が見えていなくても)使用を中止して交換
外側の被覆が割れ、中の線が見えている使用を中止して交換
角度によって充電が切れたりつながったりする使用を中止して交換
ケーブルのコネクター(差し込み部分)が変形している使用しない
根元が異常に熱い、焦げ臭いすぐに使用中止

いちばん下に当てはまる場合は、読み進める前に使用を中止してください。

安全に触れられる状態であればケーブルを抜き、難しい場合は無理をせず、コンセント側を含めて電源を切るか、専門家にご相談ください。

外観だけでは内部の状態までは分かりません。

今回も、外装に目立つ傷がない状態で、試験後の分解では内部損傷が確認されました。

見た目に加え、充電が途切れるなどの症状にも注意してください。

ヨツギ
ヨツギ

今回分解したケーブルは、外装には目立つ傷がありませんでした。

見た目だけでは分からない内部の状態を、後半の写真でお伝えします。

新しいケーブルが届くまで、数日どうする?

新しいケーブルの到着を待つ間の傷んだケーブル
届くまでの数日をどう乗り切るかが、この記事の本題
初心者作業員
初心者作業員

使わないほうがいいのは分かりました。

でも、新しいのが届くまで数日あるんです。

その間どうすれば……。

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。

答えは、傷んだケーブルを使わずに乗り切る方法を探すことです。

傷んだケーブルを使わずに充電する方法

正常な充電ケーブルとモバイルバッテリー
借りる、買う、モバイルバッテリーを使う、が現実的な選択肢
  1. 家族や職場から、端末に対応した正常なケーブルを借りる(いちばん手軽です)
  2. 近くの店で、対応するケーブルを購入する(取扱いは店舗によって異なります。端末との対応条件を確認してください)
  3. モバイルバッテリーを使う(正常な対応ケーブルを使えるか、正常で端末に対応した内蔵ケーブルがあることが前提です。傷んだケーブルをモバイルバッテリーにつないでも解決しません)
  4. ワイヤレス充電に対応した端末なら、対応する正常な充電器を使う

どの方法も難しい場合は、代替のケーブルが手に入るまで端末の使用そのものを控え、バッテリー残量を温存しながら、早めに正常なケーブルを入手してください。

ヨツギ
ヨツギ

交換品が届くまでの間も、端末に対応した正常なケーブルや充電器を確保することが先です。

モバイルバッテリーでも、傷んだケーブルを使うなら代わりの方法にはなりません。

ケーブルの断線?充電器?スマホの充電口?原因の見分け方

充電できない原因となる3か所(スマホ本体・ケーブル・充電器)
まず確認するのは、ケーブル・充電器・スマホの充電口
初心者作業員
初心者作業員

ケーブルが悪いって決めつけていたけど、スマホ側が原因のこともあるんですか?

原因をケーブルだけに決めつけず、充電器やスマホの充電口も確認します。

Samsungのサポート情報でも、充電器・ケーブル・充電ポートの損傷や異物を確認し、別のケーブルや充電器で確認することを案内しています。(Samsung:充電ができない場合の対処法

以下では、正常だと分かっている対応品を使って切り分けます。

正常な部品を使って切り分ける手順

正常なケーブルに差し替えて原因を切り分けている手元
切り分けには、正常だと分かっているケーブルを使う

傷んだケーブルを、別の機器で試さないでください

Appleは、破損したアクセサリを使わないよう案内しています。Apple

確認のために別の機器へ挿すことも、破損したアクセサリを使うことに変わりありません。

切り分けには、正常なケーブル・充電器を使ってください。

正常で端末に対応したケーブル・充電器を使い、次の順番で確認します。

特別な測定器は必要ありません。

充電器にも変形や異常な熱さなどがある場合は、その充電器で確認を続けないでください。

確認すること確認結果次の行動
① 正常なケーブルに替えて、同じスマホで充電する直った元のケーブルが原因の可能性が高い
直らない②へ
② ①の正常なケーブルのまま、充電器(ACアダプタ)だけを正常な対応品に替える直った元の充電器側を疑う
直らない③へ
③ スマホの充電口を、明るいところで目視するほこりや異物が見える原因の可能性はあるが、確定はできない
特に見えない下記へ

③で異物が見えた場合も、それが原因と確定できるわけではありません。

①〜③で解決しない場合は、スマホ本体・充電口側を疑い、メーカーや修理店に相談してください。

充電口の清掃方法は端末によって異なるため、端末メーカーの清掃・サポート案内に従ってください。

自己流で金属工具などを差し込まず、判断に迷う場合や改善しない場合はメーカーや修理店に相談してください。

ヨツギ
ヨツギ

私が現場で確認するときも、正常だと分かっている部品に置き換えて、症状が変わるかを見ていきます。

疑わしいものをあちこちにつなぐと、切り分けにならないからです。

テープで固定しても直らない理由

テープで外側を固定しても、切れた導体や内部の破れた被覆を修復することはできません。

今回も固定後に一時的な安定は見られましたが、数日間の安全性を確認したものではありません。

ビニールテープで固定された充電ケーブルの根元(イメージ)
テープで外側を固定しても、内部の損傷は修復されない(イメージ。実際の試験の様子は後述します)

なぜ直らないのか

テープで外側を固定すると、角度や接触状態が変わって充電できる場合があります。

しかし、切れた導体をつなぎ直したり、内部の破れた被覆を修復したりするものではありません。

実際に、3,800回の曲げ試験を終え、角度によって充電状態が変わるようになったケーブルBで、テープ固定後の様子を観察しました。

後の分解では、根元付近の内部損傷が確認されています。

角度によって充電が不安定になったケーブルBで、充電が安定する角度を探っている様子
(筆者撮影)角度によって、充電が安定する場合があることを確認した

角度をつけた位置で充電が安定することを確認し、その角度でテープで固定したところ、約5分間の観察では、数値は安定していました。

ただしこれは短時間の観察であり、内部の損傷が直ったことや、数日間安全に使えることを確認したものではありません。

ビニールテープで固定し、充電が安定した状態のUSBチェッカー表示
(筆者撮影)テープで固定すると、一時的に数値は安定した

なぜ根元が傷みやすい?国民生活センターが調査した焼損事例

コネクターの根元は、抜き差しや持ち運びの際に力が繰り返しかかる部分です。

国民生活センターは、こうした力によって断線に至る可能性があると注意を促しています。

以下は筆者の試験とは別に、同センターが調査した焼損事例です。

国民生活センターは、USBケーブルが焦げたという相談を受けて商品テストを行っています。(国民生活センター

その報告によると、この事例では、コネクタとケーブルの境目付近でプラス極の電源線が切れ、素線の断線によって発熱し、被覆が溶けて、マイナス極につながる編組線とショートし、焼損に至ったと考えられています。

電線が切れた原因については、日常の使用によってコネクタ根元へ繰り返し力が作用したことが一因と考えられています。

これは調査された1件の事例であり、傷んだケーブルが必ず同じ経過をたどるわけではありません。

根元に繰り返し力がかかることと、内部の断線や焼損との関係を示した事例です。

今回の分解でも、コネクター根元付近のプラス側電源線に断線が確認されました。

ただし、破損の経過まで同じだったかは分かりません。

切れかけると、熱を持つことがある理由

🟩 素線(そせん)とは

今回確認したケーブルの電源線は、1本の太い銅線ではなく、細い銅線を何本も束ねた「より線」という構造でした。

この1本1本を素線と呼びます。

曲げ伸ばしに耐えられるようにするための構造です。

細い銅線が何十本も束ねられた電線の断面(イメージ)
電線の中身は、細い銅線(素線)の束(イメージ図)

国民生活センターの報告では、プラス極の電源線の素線が断線して発熱した、と説明されています。

素線の一部が断線すると、電流が通れる導体の断面積が小さくなり、その部分の抵抗が増えます。

残った素線を通って充電できる場合もありますが、電流が流れた際に局所的な発熱につながることがあります。

実際の発熱の程度は、損傷の状態や流れる電流などによって変わります。

充電ケーブルの事故は、根元の断線だけではありません

NITEの資料によると、2013〜2017年度の5年間に充電ケーブルの事故が86件発生しています。(NITE

調査が完了した85件のうち、最も多かったのはコネクター内部に異物が付着してショートや異常発熱に至ったもので、28件(約33%)でした。

ケーブル部への引っ張りや屈曲、荷重による断線・ショートも、発生状況として挙げられています。

接触不良が発熱につながる仕組みは、接触不良の記事でも詳しく解説しています。

ヨツギ
ヨツギ

仕事で扱う可動ケーブルでも、曲げ伸ばしを繰り返す部分から傷んでいきます。

そういう場所で通電が不安定になったときは、まずそこを疑うようにしています。

筆者の保有資格や経歴は、プロフィールをご覧ください。

【実測】外装に傷がなくても、角度で充電が途切れるようになった

新品のケーブル2種類を各1本、手作業で曲げて確認しました。

ケーブルBでは、外装に目立つ傷がないまま充電が不安定になり、分解時に内部の損傷が見つかりました。

Aは4,000回、Bは3,800回で曲げ試験を終了しています。

各1本の観察であり、規格に沿って製品全般の耐久性を比較した試験ではありません。

角度によって充電が不安定になったケーブルBで、USBチェッカーの表示が消えた瞬間
(筆者撮影)曲げ試験後のケーブルBで、USBチェッカーの表示が消えた場面
ヨツギ
ヨツギ

ここまで「根元が傷む」と説明してきましたが、今回の2本で、曲げを繰り返すと充電状態にどんな変化が出るのか、手元で確かめてみました。

測定の条件

ケーブルAのコネクター根元を90度に曲げている様子
曲げ試験は、スマホ側のコネクター根元を手作業で曲げて実施した
項目内容
比較したケーブルケーブルA:ダイソー(110円)/ケーブルB:ALiHAN製ライトニングケーブル(Amazon購入、商品ページにMFi認証と表示)
曲げる場所コネクターの根元
曲げ方スマホ側のコネクター根元を、手作業で曲げた。
まっすぐ→右90度→まっすぐを1回、左側も同様に1回。
左右一組で2回と数え、合計100回ごとに記録
試料A・Bとも新品、各1本
接続順充電器→USBチェッカー→試験ケーブル→スマートフォン
測定順ケーブルAを測定後、続けてケーブルBを測定
負荷スマートフォン(動画を再生しながら充電)
使用したUSBチェッカーKWS-MX23
充電器5V/1A出力のもの
室温約25.5℃
実施日2026年9月20日
温度温度計での測定はしていません。
触れた範囲では、試験中に熱さは感じませんでした

なお、ケーブルBのMFi認証は、購入時の商品ページの表示を情報源としており、Appleの登録情報との照合は行っていません。

今回の各1本の結果|Aは4,000回まで充電異常なし、Bは3,800回で通常の向きでは充電できず

USBチェッカーに表示された、測定開始時(0回)の電流・電圧の数値
(筆者撮影)測定開始時点の数値。ここを基準に100回ごとの変化を記録した

まず、2,000回の時点までは、どちらのケーブルも大きな変化はありませんでした。

100回ごとに記録した詳細は、下の手書き記録のとおりです。

実測時の記録(筆者記録)
充電ケーブルの曲げ試験、100回ごとの電流・電圧の手書き記録
(筆者記録)100回ごとの電流・電圧の記録。後半(2,000回以降)の記録も含む

その後も試験を続けました。

Bは3,500回付近から表示が消えることがあり、3,800回では通常の向きで充電できなくなったため、そこで試験を終了しました。

Aは4,000回まで実施しました。

以下は100回ごとの記録から、通常の経過を500回刻みで抜粋し、異常が見られた3,500〜3,800回を詳しく掲載した表です。

各セルは上段が電流(A)、下段が電圧(V)です。

A・Bは測定条件表の試料を示します。

症状の説明は表の下にまとめています。

曲げ回数ケーブルAケーブルB
0回
(基準)
0.97 A
4.73 V
0.96 A
5.06 V
500回0.98 A
4.77 V
0.96 A
5.08 V
1,000回0.98 A
4.75 V
0.96 A
5.07 V
1,500回0.98 A
4.76 V
0.96 A
5.04 V
2,000回0.98 A
4.77 V
0.96 A
5.07 V
2,500回0.98 A
4.78 V
0.96 A
5.07 V
3,000回0.98 A
4.77 V
0.96 A
5.07 V
3,500回0.98 A
4.75 V
0.96 A
5.07 V
3,600回0.98 A
4.75 V
0.96 A
5.07 V
3,700回0.98 A
4.78 V
0.96 A
5.07 V
3,800回0.98 A
4.78 V
0.00 A
4.93 V
4,000回0.98 A
4.73 V
未測定
  • 3,500回付近から:Bは曲げた拍子にUSBチェッカーの表示が消えることがありました。
  • 3,800回:Bはまっすぐでは充電できず、ここで曲げ試験を終了しました。記録値は表示を読み取れた場面のものです。
  • 4,000回:Aのみ最終測定。Bは3,800回で試験を終了したため未測定です。

今回の試料で観察した結果は、次のとおりです。

ケーブルA(今回の1本)

4,000回まで曲げても、観察した範囲では充電の異常や、測定値の大きな変化は見られませんでした。

ただし、内部の素線がすべて無傷であることまでは確認していません。

ケーブルB(今回の1本)

約3,500回から、曲げた拍子にUSBチェッカーの表示が消えることがありました。

3,800回の記録は、電流表示0.00A、電圧表示4.93Vでした。

通常の向き(根元をまっすぐにした状態)では充電できず、ここで曲げ試験を終了しました。

この数値を読み取れた場面と、それ以前に表示が一時的に消えた場面は分けて記録しています。

ケーブルの外装には、傷や破れは見られませんでした。

曲げ試験を終了した後に状態を確認すると、根元をまっすぐにした状態では充電できず、ケーブルに角度をつけると充電できました。

この観察と、前述した約5分間のテープ固定の確認は、100回ごとの曲げ試験とは別に行ったものです。

正直に申し上げると、これは予想と違う結果でした。

今回のAは4,000回まで観察した範囲で充電異常がなく、Bは3,800回で通常の向きでは充電できなくなりました。

ただし、各1本の結果から製品全体の耐久性の優劣は判断できません。

分解で確認したのは、赤線の断線と黒線の被覆の破れ

電源を外して分解したところ、赤線の断線と、黒線の被覆が破れて導体が露出した状態を確認しました。

ただし、分解後の状態だけでは、曲げ試験中に表示が消えた原因までは特定できません。

この確認は、ご自宅で真似しないでください

筆者は電源を外した状態で分解しましたが、読者ご自身での分解や再通電は行わないでください。

同じような症状が見られた場合は、内部を確認しようとせず、使用を中止してください。

結果、コネクターの根元から約5mmの位置で、プラス極(赤い線、電源を送る線)が完全に断線していました。

さらによく見ると、マイナス極(黒い線)も被覆が破れ、中の芯線が露出していました。

これは、外装とシールドを取り除いて内部を確認した時点で見えた状態であり、破損がいつ・どのような順序で生じたかまでは分かりません。

充電ケーブル内部で、黒線の被覆が破れて芯線が露出している写真
(筆者撮影)黒線も被覆が破れ、芯線が露出していた

分解後にも追加確認を行いましたが、曲げ試験中に表示が消えた直接の原因や、保護回路が働いたかどうかは特定できませんでした。

記事の判断材料として示すのは、充電状態の変化と、分解時に確認した内部損傷です。

国民生活センターが調査した事例(前述)でも、コネクタとケーブルの境目付近のプラス極で断線が確認されています。

今回、分解して確認したケーブルの断線も、同じくコネクター根元付近のプラス極でした。

ただし、破損がいつ、どのような順序で進んだかという経過までが同じだったかは分かりません。

参考:2,000回終了時点の充電器交換による測定結果

この測定は、症状がはっきり現れる前(2,000回終了時点)に行ったものです

曲げ試験は5V/1A充電器で行ったため、2,000回終了時点で5V/2A充電器に差し替え、表示される電流・電圧を確認しました。

安全性を検証したものではありません。

5V/1A充電器(2,000回終了時点)5V/2A充電器に差し替え
ケーブルA0.98A / 4.77V1.82A / 5.25V
ケーブルB0.96A / 5.07V0.96A / 5.24V

この確認では、両方のケーブルで電流・電圧の表示を確認できました。

表示電流には差がありましたが、その原因までは特定していません。

端末の充電状態などの影響も切り分けていないため、この値だけで製品の優劣や安全性を判断することはできません。

この結果から言えること

今回の観察では、外装に目立つ傷がなくても、角度によって充電が途切れるケーブルの内部に損傷が確認されました。

また、テープで固定すると約5分間は数値が安定しましたが、内部の損傷を修復したものではありません。

このため、外観だけでなく充電の途切れにも注意し、一時的に充電できたことを継続使用の根拠にしない、というのが読者にお伝えしたい点です。

使用中止の判断は前述の公的な案内に基づいており、今回の実物の観察は、その判断を理解するための具体例です。

Aは4,000回まで観察範囲で充電異常がなく、Bは3,800回で通常の向きでは充電できなくなりました。

ただし、新品各1本を手で曲げた結果なので、価格や認証による耐久性の差、同じ製品の寿命を判定できる試験ではありません。

ヨツギ
ヨツギ

今回、外装に傷がなくても内部は傷んでいる場合があることを、実物で確認できました。

Bは3,500回から表示が消えることがあり、3,800回では通常の向きで充電できなくなりました。

「角度を変えれば使える」という状態も、交換を判断するための異常として受け止めてほしいと思います。

次に買うなら、どんな基準で選ぶか

コネクターの根元が補強された充電ケーブル
傷みやすい根元が補強されているかを見る

買い替えるときは、まず端末と充電器の両方に対応する製品かを確認します。

そのうえで、取り扱いやすさや保証などを選ぶ基準にしてください。

確認する項目見るポイント
端末との対応スマホ側の端子がUSB Type-C・Lightningなど、使用端末に合っているか
充電器・規格との対応充電器側の差込口がUSB Type-AかUSB Type-Cかを確認する。
あわせて、商品説明の対応機種・充電条件を確認する
根元の構造コネクターの根元が補強されているか(見た目の補強だけで耐久性を保証するものではありません)
取り扱い方抜くときにコネクターを持ちやすい形状か
保証保証期間や交換の条件が示されているか

そのうえで、買い替えたケーブルを長持ちさせる基本をひとつだけ。

ケーブルを抜くときは、コード部分を引っ張らず、コネクターを持ってまっすぐ抜いてください

Appleも、ケーブル自体を引っ張ると断線につながると案内しています。(Apple

国民生活センターも、抜き差しは端子に対してまっすぐ、ゆっくり行うよう勧めています(国民生活センター)。

今回も、根元を繰り返し曲げた後の分解で、ケーブルBの根元付近に断線が確認されました。

よくある質問

Q. 電気工事用の絶縁テープなら、補修に使えますか?

テープの種類は、この場合の論点になりません。

絶縁用途のテープで外側を覆っても、内部の導体の断線や接触不良そのものは修復できないためです。

この記事の実測でも、テープで固定した状態は一時的に安定しましたが、内部の断線や接触の不安定さが直ったわけではありませんでした。

Q. 被覆が少し裂けているだけで、充電もいつも安定しています。それでも交換すべきですか?

はい。

被覆に裂けがあるケーブルは、充電が安定していても使用を中止して交換してください。

国民生活センターは、USBケーブルに外観上の異常が見られた場合も使用を中止するよう案内しています。(国民生活センター

内部まで断線していると断定できなくても、使い続けてよいという判断にはなりません。

Q. 触っても熱さを感じません。それなら安全ですか?

熱さを感じないことだけでは、安全とは判断できません。

今回も、充電が不安定になり、分解後に内部損傷が確認されたケーブルで、触った範囲では熱さを感じませんでした。

温度計での測定はしていません。

外観の損傷・充電の途切れ・異常な熱さのいずれかがあれば、使用を中止してください。

まとめ

コネクターを持ってまっすぐ差し込んでいる手元
コードを引っ張らず、コネクターを持つと長持ちする
まとめ
  • 角度で充電が途切れる場合、ケーブルの断線や接触不良が疑われる。ただし充電器やスマホ側の可能性もある
  • 判断の基準は「まだ充電できるか」ではなく「異常が出ているか」
  • 切り分けは、正常なケーブル・充電器を使って行う。傷んだケーブルを別の機器で試さない
  • テープで固定して一時的に充電が安定しても、内部損傷や接触不良が修復されたことや、安全に使えることの証明にはならない
  • 実測したBでは、外装に目立つ傷がないまま充電が不安定になり、分解時に内部損傷を確認した。外観が正常でも、充電の途切れを見逃さない
  • 届くまでの数日は、正常なケーブルを借りる・購入するなど、傷んだケーブルを使わない方法で乗り切る
  • 抜くときはコードを引っ張らず、コネクターを持ってまっすぐ抜く
この記事を書いた人
ヨツギ(四ツ木)

京都の工業高校を卒業後、エレベーターのメンテナンス会社に20年以上勤続。
これまでに現場経験を元にこれから電気を学ぶ人が、「何が分からないのかが分からない」状態を抜け出し、現場で自信を持って作業できるようになれるような情報を発信します。

【保有資格】
・一級技能士(シーケンス制御)
・第3種電気主任技術者
・第2種電気工事士
・認定電気工事従事者

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