「電圧」「電流」「抵抗」。
電気設備や制御機器を扱い始めると、こうした言葉や、V・A・Ωという単位を目にする機会が増えます。
ただ、言葉は知っていても、次のようなことが頭の中でつながっていない人は多いのではないでしょうか。
- 電圧と電流は、結局何が違うのか
- 抵抗は、回路の中で何をしているのか
- この3つが、どう関係しているのか
学校や資格の勉強でオームの法則の公式を見たことはあっても、実際の回路や機器を前にすると意味が腑に落ちない。
そんな状態です。
私自身も入社したての頃は、電圧も電流も、どちらも「電気の強さ」のようなものだと思っていて、それぞれを区別できていませんでした。
この記事では、電圧・電流・抵抗の定義を一つずつ暗記するのではなく、3つの関係から理解していきます。
関係がつかめると、V・A・Ωの数値を見たときに「これは何を表している値なのか」を考えやすくなります。

電圧・電流・抵抗って、それぞれの説明を読んでも、結局ごちゃごちゃになるんです……。

最初に答えを短く確認したら、いったん3つの名前を外して、電気で何が起きているかを順番に追っていきましょう。3つの関係が見えると、違いも区別しやすくなります。
この記事でわかること
- 電圧・電流・抵抗は何が違うのか
- 3つがどう関係しているのか
- なぜ別々に覚えると分かりにくいのか
- V・A・Ωの数値を見たとき、それぞれ何を表している値なのか
⚠️作業時の最重要安全ルール
・通電中の厳禁: 部品の交換や抵抗・導通の測定は、必ず機器の電源を切って(ブレーカーを落として)行ってください。
・設定の確認: テスター等の計測器を使う際は、測定対象に合わせた正しいレンジ(電圧・抵抗など)になっているか必ず確認してください。
➕ 【重要】ご一読ください:安全上の注意と免責事項(タップで展開)
この記事の内容は、あくまで筆者の20年以上の経験に基づく一般的な知識と手順を紹介するものです。
電気工事や保守作業には、感電・火災・機器の破損といった重大な危険が伴います。実際の作業は、必ず自己責任で、関連法規と安全規則を厳守して行ってください。
また、資格が必要な作業は必ず有資格者が行ってください。
当ブログの情報に基づいて生じたいかなる損害・事故についても、当方は一切の責任を負いません。
まず結論|電圧・電流・抵抗は別の量だが、互いに関係している
まず答えだけ確認します。
電圧・電流・抵抗は、それぞれ表しているものが違う別の量ですが、同じ回路の中で互いに関係しています。
| 用語 | まずはこう考える |
|---|---|
| 電圧 | 2点間にある電気的な状態の差 |
| 電流 | 実際の電気の流れの大きさ |
| 抵抗 | 電流の流れにくさ |
3つは、同じ「電気の強さ」を3種類の言葉で呼び分けているわけではありません。
表しているものが違い、単位も電圧はV(ボルト)、電流はA(アンペア)、抵抗はΩ(オーム)と別々です。
特に電圧は「差」なので、1か所だけでは決まりません。
必ず「どこと、どこの間か」で考える量です。
一方で、3つはばらばらに存在しているわけでもありません。
抵抗値が一定とみなせる単純な回路では、3つのうち2つが分かれば、残りの1つも求められます。

とはいえ、「電気的な状態の差」と言われても、何の差なのかイメージしにくいと思います。
この説明だけではまだピンとこない人は、ここから一度「電圧・電流・抵抗」という名前を忘れて考えてみましょう。
いったん名前を忘れて、電気の関係だけを考えてみる
この世界で見るのは、2つの状態の「差」、実際の「流れ」、「流れにくさ」の3つです。
順番に特徴を確認していきます。
2つの状態の「差」
この世界には、2つの場所があります。
それぞれの場所には「高さのような状態」があり、片方は高いような状態、もう片方は低いような状態になっています。
ここでいう「高さ」は、本当の物理的な高さではありません。
大事なのは、それぞれの高さそのものではなく、2つの状態の差の大きさです。
片方の場所だけを見ても、何も決まりません。
2つを比べたときの差が、この世界の出発点です。

ここでは、2つの状態の差が続くものとして考えます。
では、差があれば、それだけで流れるのでしょうか。
次の「流れ」で確かめます。
実際の「流れ」
差があり、2つの場所の間が途中で途切れずにつながっているとき、差が続いている間は流れも続きます。
反対に、途中が途切れている場合は、この簡略モデルでは「流れない」ものとして扱います。
「差があること」と「実際に流れていること」は別です。
差はあるのに流れていない、という状態は普通にありえます。
ここでは、2つの場所の間が途中で途切れずにつながっていることを、流れを考える前提にします。
「流れにくさ」
ここまでは、途中が途切れていると流れないことを確認しました。
では次に、途中をつないだ状態に変えて考えてみます。
途中がつながっていても、「流れにくさ」によって流れの大きさは変わります。
ここからは、途中がつながっている状態を前提に、「どれくらい流れにくいか」を考えます。
要点
流れの大きさは、「差」と「流れにくさ」の組み合わせで変わります。
この簡略モデルでは、次のようになります。
- 流れにくさを変えずに、2つの状態の差を大きくすると、流れは大きくなる
- 2つの状態の差の大きさを変えずに、流れにくさを大きくすると、流れは小さくなる
今のルールだけで、流れがどう変わるか見てみる
答えを読む前に、3つの条件で流れがどう変わるか予想してみてください。ここではまず「大きくなる・小さくなる・流れない」という変化の方向を考えます。具体的な倍率は、後半のオームの法則で確かめます。
途中のつながりが途切れたら? 流れにくさを変えずに差を2倍にしたら? 差を変えずに流れにくさを2倍にしたら? さきほどの「差」「流れ」「流れにくさ」の関係から考えましょう。
状態に差はあるが、途中でつながりが途切れている場合
「流れ」で決めたルールどおり、途中が途切れている場合は、この簡略モデルでは流れないものとして扱います。
2つの状態の差はあるのに、流れは続きません。
差がある=流れている、ではありません。
差は流れが起きるための条件の一つであって、流れそのものではないということです。
流れにくさを変えず、2つの状態の差だけを大きくした場合
途中がつながっている状態で、流れにくさを変えずに2つの状態の差だけを大きくすると、流れは大きくなります。ここでは、何倍になるかではなく、増える方向に変化することを確かめます。
2つの状態の差を変えず、流れにくさだけを大きくした場合
途中がつながっている状態で、2つの状態の差を変えずに流れにくさだけを大きくすると、流れは小さくなります。
このとき、2つの状態の差は変わっていません。
変わったのは流れにくさと、流れの大きさです。
| 変える条件 | 2つの状態の差 | つながり | 流れにくさ | 実際の流れ |
|---|---|---|---|---|
| 途中のつながりを途切れさせる | ある | 途中で途切れている | ― | 流れない(簡略モデル) |
| 差だけを大きくする | 大きくする | 途切れていない | 変えない | 大きくなる |
| 流れにくさだけを大きくする | 変えない | 途切れていない | 大きくする | 小さくなる |

ここまでの3つの条件を並べると、実際の流れの大きさは、途中で途切れずにつながっていることを前提に、「差」と「流れにくさ」の組み合わせによって変わることがわかります。
差だけ、流れにくさだけを見ても、流れの大きさは決まりません。
答え合わせ|ここまで考えた3つが電圧・電流・抵抗
簡略モデルで考えた3つを、電気の用語に置き換えてみましょう。

| 簡略モデル | 現実の電気で対応するもの | 単位 |
|---|---|---|
| 2つの状態の差 | 電圧 | V(ボルト) |
| 流れの大きさ | 電流 | A(アンペア) |
| 流れにくさ | 抵抗 | Ω(オーム) |
電圧とは
電圧は、2点間にある電気的な状態の差です。正式には、2点間の「電位差」を表します。
簡略モデルで「2つの状態の差」として考えていたものに対応するのが電圧で、単位はV(ボルト)です。電圧を考えるときは、必ず「どことどこの間か」を意識します。
ただし、電圧がかかっているだけでは、電流が流れているとは限りません。
途中が途切れている場合は、この記事の簡略モデルでは電流は流れないものとして扱います。
参考:Fluke「電圧とは?」
電流とは
電流は、実際の流れの大きさです。
簡略モデルの「流れ」に対応し、単位はA(アンペア)です。より正確には、回路のある断面を1秒間にどれだけの電荷が通過するかを表す量です。
抵抗値が一定とみなせる単純な回路では、電圧を大きくすると電流も大きくなります。
抵抗とは
抵抗は、電流の流れにくさです。
簡略モデルの「流れにくさ」に対応し、単位はΩ(オーム)です。「抵抗」は量の名前で、「抵抗器」はその抵抗を利用する部品の名前です。抵抗は抵抗器だけでなく配線などにもあります。
電圧を一定に保った単純な抵抗回路では、抵抗値を大きくすると流れる電流は小さくなります。
参考:Fluke「抵抗とは?」
3つを別々に覚えると分かりにくい理由
簡略モデルでは、流れにくさを変えずに差を大きくすると流れが大きくなり、差を変えずに流れにくさを大きくすると流れが小さくなることを確かめました。
つまり、電圧・電流・抵抗は別々の量ですが、抵抗値が一定とみなせる単純な回路では、互いに1つの関係で結ばれています。
3つの定義を別々に暗記するだけでは、この「何を変えると、何がどう変わるのか」という関係が見えにくくなります。
オームの法則
この関係を式で表したものが、オームの法則です。
V=I×R(電圧=電流×抵抗)
電流を求める形にすると、I=V÷Rです。
抵抗を求める形にすると、R=V÷Iです(Iが0でない場合)。
この形で見ると、さきほどの要点で確かめた関係が、そのまま式になっていることがわかります。
- Rを変えずにVを大きくすると、Iは大きくなる
- Vを変えずにRを大きくすると、Iは小さくなる
ここからは変化の方向だけでなく、倍率まで確かめられます。抵抗値が一定なら電流は電圧に正比例し、電圧を2倍にすると電流も2倍になります。電圧が一定なら電流は抵抗に反比例し、抵抗を2倍にすると電流は半分になります。これは私が入社当時の自分に説明するなら、まず伝えたい関係です。
この記事では、抵抗値が一定とみなせる単純な回路に範囲を絞って、この関係を考えます。
3つの公式を別々に暗記するのではなく、同じ関係を求めたい量に合わせて書き換えたものと考えましょう。
ただし、計算に使う電圧と電流は、同じ抵抗器など同じ対象部分に対応している必要があります。別の場所の数値を無条件で組み合わせることはできません。
計算例|24V・12Ωなら2A
理想的な24Vの直流電源と、抵抗値が12Ωで一定の抵抗器1つを導線で接続し、電源から抵抗器を通って電源に戻る閉じた回路を考えます。これは計算上の仮定で、実験手順ではありません。
このとき、電源は電位差を維持し、抵抗器の両端には24Vがかかります。抵抗器を流れる電流が回路の電流で、抵抗器の12Ωがその電流の流れにくさです。
電圧・電流・抵抗を、同じ抵抗器に対応する数値として扱います。

I=V÷R=24÷12=2A
24Vという電圧と12Ωという抵抗の組み合わせから、この条件では2Aの電流が流れる、という関係です。
逆に、24V÷2A=12Ω、2A×12Ω=24Vとも表せます。3つの数字は、別々の事柄ではなく同じ関係を示しています。
ここで、電圧を2倍にしたら電流はどうなるでしょうか。逆に、電圧を変えずに抵抗を2倍にしたらどうなるでしょうか。答えを予想してから表を見てください。
| 条件 | 電圧 | 抵抗 | 電流(I=V÷R) |
|---|---|---|---|
| 基準 | 24V | 12Ω | 24÷12=2A |
| 抵抗を変えず、電圧を大きくする | 48V | 12Ω | 48÷12=4A |
| 電圧を変えず、抵抗を大きくする | 24V | 24Ω | 24÷24=1A |
※表の数値は理論上の計算例であり、実測値や実験手順ではありません。抵抗器の消費電力は、24V・12Ωの条件で48W、48V・12Ωの条件では192Wになります。一般的な小電力抵抗器で安易に再現しないでください。
ここまでの世界は、電気の関係をつかむための簡略モデル
ここで、簡略モデルから現実の電気に戻ります。
簡略モデルの「差が続く」は、実際の単純な直流回路では電源が電位差を維持することに対応します。「途中がつながっている」は、電源と抵抗器などの負荷を通る電流経路が閉じている状態に対応します。
電源の端子同士を導線だけで直接つなぐのは短絡であり、この説明でいう「つながっている状態」ではありません。回路が開いて電流が流れないときでも、電源端子間や開いたスイッチの両端に電圧が存在する場合があります。電圧があることと、電流が流れていることは別です。

実際の回路をどう見ればよいかは、次の記事で解説しています。
V・A・Ωを見たら「何を表している値なのか」を考える
ここまでの内容を、現場で見かける単位につなげます。
- V(ボルト):電圧の単位。2点間の電気的な状態の差を表す
- A(アンペア):電流の単位。流れの大きさを表す
- Ω(オーム):抵抗の単位。流れにくさを表す
たとえば「24V」と「2A」は、どちらが大きいかを比べられません。電圧と電流では、表している量そのものが違うからです。
数字を見たら、まず「これは差なのか、流れなのか、流れにくさなのか」を確認することが大切です。

何を確かめたいかで、見る量が変わる
私の実務では、トラブル調査でモーターなどの負荷装置に正常な電源電圧が印加されているかを確認することが多いです。ほかにも接触器のコイル電圧、基板の電源、パワーサプライの電源電圧などを確認します。
このとき大切なのは、単に「電圧がある」と見るのではなく、対象機器のどことどこの間の電圧なのか、期待する電圧と比べてどうかを考えることです。電圧が確認できても、それだけで機器の正常動作や電流の流れまで確定できるわけではありません。
私が担当してきた業務では、電流を直接測定する機会は電圧測定ほど多くありませんでした。
抵抗値を確認することもあります。ただし、測定の頻度は扱う設備や仕事内容によって異なるため、これは私自身の経験です。
電圧・電流・抵抗は、どれが一番重要かを順位付けするものではありません。
実務では、何を確かめたいかによって、電圧・電流・抵抗のどれを見るかが変わります。
- V:どことどこの間の電圧か。期待する値と比べてどうか。
- A:どの経路や機器を流れる電流か。
- Ω:どの部分の抵抗値か。対象がどのような状態で、何につながっているか。
新人に説明するなら、電圧は電流を流すための条件の一つで、実際に電流が流れるには負荷を通る経路がつながっている必要がある、と伝えます。電圧と電流を同じものと考えないためです。
電圧や抵抗を実際にどう測り、結果から何がわかるかは、次の記事で解説しています。
よくある疑問

Q1. 抵抗があるところを通ると、電流は途中で減っていくんですか?

いいえ。抵抗が電流を途中で消費するわけではありません。
電流の通り道が1つの単純な直列回路では、抵抗器に入る電流と出る電流の大きさは同じです。抵抗器は電流そのものを消費しません。
電流が流れている抵抗器の両端には電圧降下が生じ、電気エネルギーが熱などに変わります。一方、電源電圧が一定の単純回路で抵抗値を大きくすると、回路全体を流れる電流が小さくなります。

Q2. 抵抗値って、低ければ正常、高ければ異常ですよね?

そうとは限りません。
何を、どんな状態で見ているかによって、正常な状態は変わります。
たとえばスイッチなら、ONのときは抵抗が小さく、電気を通す状態が正常です。
OFFのときは、電気を通さない状態が正常です。
抵抗値は単純に「低いから正常」「高いから異常」と判断するものではありません。
どこの何を、どんな状態で確認しているのかを見ることが大切です。回路につながったまま抵抗を測ると、並列につながる別の部品や経路の影響を受ける場合もあります。安全な測定条件を確認できない場合は測定を進めないでください。
まとめ|別々に暗記するより、3つの関係に戻って考える
- 電圧:2点間の電気的な状態の差
- 電流:流れの大きさ
- 抵抗:流れにくさ
3つは別々の量ですが、同じ回路の中で互いに関係しています。
理解できたか確かめるなら、「電源に電圧があっても、回路の途中が途切れていたら電流は流れるか」を考えてみてください。この記事で扱う単純な直流回路では、流れません。
「状態の差」「流れにくさ」「実際の流れ」の関係に戻って考えてみてください。













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